銀歯より何となく金歯やセラミックの方が良さそうですが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか?
目次
金歯とは?銀歯と何が違う?
「金歯」とは、文字通り金色の歯を指します。純金を使用しているわけではなく、金に銀や銅、白金(プラチナ)などを添加して強度を上げた金合金を用います。
金100%の純金では柔らかすぎて、歯の強度に負けてしまうためです。
「銀歯」も文字通り銀色の歯を指しますが、保険診療で用いられている「銀歯」は金銀パラジウム合金というものでできています。実は銀歯と言いつつ、金も混ざっているのです。
金銀パラジウム合金も合金の一つで、「金歯」の金合金に比べて硬く強度が上がっています。また、純銀だと硫黄と反応して腐食してしまうことがあるため、金を混ぜることにより耐久性を良くしています。
金歯と銀歯の比較
歯医者で金歯による治療を勧められた方はほとんどいないと思いますが、実は金歯は銀歯に比べてメリットが多いのです。
金歯の銀歯に比べたメリットとデメリットを説明します。
金歯のメリット
虫歯が再発しない
金歯の特徴は何と言ってもその柔らかさにあります。歯のかぶせ物として、使っていけばいくほどなじんでいくという人もいるぐらいです。もちろん金属なのである程度の硬さはありますが、加工がしやすく、歯の形を細部まで再現することができます。
歯との密着性がとても良く、虫歯の再発予防にはかぶせ物の中で言えば最も良いと言えます。
逆に銀歯は金歯に比べて密着性が悪く、歯と銀歯のすき間から虫歯菌が侵食して虫歯が再発する『二次う蝕』の原因にもなります。
金属アレルギーが起きにくい
金歯は昔から対アレルギー用の詰め物、かぶせ物として使われてきました。銀歯でアレルギーが出るという人でも、金歯だと出ない人もたくさんいます。
金属アレルギーの人が知らずに銀歯を使うと、口の中がヒリヒリしたり、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)といって手のひらや足の裏に発疹が現れたりします。
劣化がほとんど起きない
金は金属として安定しているため、金属の溶出などがほとんどありません。一方、銀歯の銀イオンは溶出しやすく、口の中という特異な環境の中では安定性に欠けます。古くなると金属特有の味がすることもあります。
銀歯は金歯に比べて劣化が早いので、長い目で見るとあまり良い材質とは言えないでしょう。
金歯のデメリット
銀歯に比べた金歯のデメリットは治療費の高さです。
銀歯による治療は健康保険の範囲内として認められているため3割負担で安価に済みます。虫歯の進行度合いによりますが、3,000円~10,000円程度で治療が可能です。
一方、金歯は健康保険の適用外の治療法であるため全額自費診療となります。費用は詰め物であれば、3万円~6万円程度、被せ物だと、5万円~15万円程度と高額になります。
金歯と銀歯だったらどっちが良い?
上で説明した通り、材質の点で言えば金歯の方が断然銀歯より優れています。虫歯が再発することもほとんどありませんし、耐久性も高いです。
詰め物を長く持たせたい人、虫歯の治療をもうやりたくない人にとっては金歯はおすすめです。
ただし、治療費で言えば銀歯の方が明らかに安く出来ます。安さを取る場合は銀歯、耐久性を取る場合は金歯を選べば良いでしょう。
なお、どちらも金属色がはっきりしているため、見栄えが悪いです。口を開けた時に虫歯の治療をしたことが他人にもわかってしまうというデメリットがあります。
金歯とセラミックだったらどっちが良い?
最近は世界的にメタルフリーの流れで、陶材を用いたセラミックのかぶせ物が保険外治療のスタンダードになってきました。
そもそもセラミックとは何でしょうか?金歯とセラミックだとどちらが良いのでしょうか?
セラミックとは?
セラミックとは、陶器などに用いられる陶材を使用した見た目が白い歯による虫歯の治療法を指します。元からある歯とほとんど同じ白色であるため、銀歯や金歯に比べて審美性に長けています。
外から見た時に虫歯の治療後だと分からないため、女性や若い人を中心にセラミックによる治療を希望する人が増えています。
金属を使用しないため、金属アレルギーが起きることがありません。歯垢やステインなどの汚れが付きにくく、色が変色することもほとんどありません。
また、セラミックは加工がしやすく、歯と密着出来るので、銀歯に比べて虫歯が再発しにくくなります。
ただし、セラミックも金歯と同じく健康保険の適用外の治療法であるため全額自費診療となります。虫歯の進行度合いや使用するセラミックの種類によりますが、費用は詰め物であれば、3万円~5万円程度、被せ物だと、4万円~10万円程度と高額になります。
セラミックにより歯を白くする治療については下記の記事でまとめていますので参考にしてください。
金歯とセラミックの比較
セラミックは金歯に比べて、審美性が良いものの、材質が陶材であるため、割れてしまったり欠けてしまったりすることがあります。
金歯に比べて耐久性は高くはありません。歯ぎしりや強い噛み合わせがある場合は、1年~数年で使えなくなってしまうこともあります。
費用の面では同等の治療費か、金歯の方が若干高い歯医者が多いようです。
耐久性で選ぶならば金歯、見た目で選ぶならばセラミックが良いでしょう。
まとめ
特にセラミックによる治療は、治療に使う材質が年々良いものが出てきており、治療費も少しずつ下がってきているので、近年セラミックを利用する人が増えています。
また、歯医者により得意分野やおすすめなどが異なりますので、虫歯の治療法に不安があれば、セカンドオピニオンで他の歯医者さんを受診してみるというのも一つの手です。自分に合った治療法を選ぶようにしましょう。