確かに、歯並びやかみ合わせは子どもの内に治した方が治療期間が短く、費用が安く済みます。
一方で、治療費が数十万程度はかかりますし、2年程度の治療期間が必要ですので、費用的にも子ども本人にも負担が大きいのが実情です。
今回は子どもの歯の矯正を迷っている親のために、歯の矯正をした方良い子どもや矯正方法、矯正費用、歯医者の選び方などの矯正の気になる点を説明します。
実際に子どもの歯の矯正を行った親の体験談も掲載していますので参考にしてください。
目次
矯正をした方がよい場合とは
特に歯の矯正を行った方が良いのは下記の4つの場合です。
特に受け口や出っ歯は見た目が悪くなり、学校でのいじめにもつながる場合がありますので、早めに矯正した方がよいでしょう。
受け口の場合
下の歯が上の歯よりも前に出てしまっていることを受け口と言います。
いわゆる『しゃくれ』と呼ばれる、顎が前に出ているようなイメージを思い浮かべてもらえばよいです。
乳歯の場合は永久歯への生え変わりの際に自然に治る場合もあります。
見た目にかかわるので、なるべく早めに矯正を行った方がよいでしょう。
出っ歯の場合
前歯が下の歯よりも大きく前に出ていることを出っ歯といいます。
芸能人だと、さんまさんや久本雅美さんを思い浮かべますよね。
前歯が邪魔して、口がうまく閉じれないことから口呼吸になりやすくなります。
虫歯や歯周病になるリスクが上がりますし、見た目にかかわるので、矯正を行った方がよいでしょう。
乳歯が邪魔して永久歯がまっすぐ生えなかった場合
永久歯への生え変わりのときに良くあるのが、乳歯が抜ける前に永久歯が生えてしまうケース。
まだ生きている乳歯が邪魔をして永久歯が本来生えてこない場所から出てくる場合があります。
歯医者で乳歯を急いで抜いたとしても、既に頭を出している永久歯は本来の場所に戻ることはありません。
かみ合わせが悪くなりますし、口を開いたときの見た目が悪くなるので、矯正を行った方がよいでしょう。
特に前歯や前歯に近い部分の永久歯がまっすぐ生えてこなかった場合は、確実に矯正を行った方がよいでしょう。
歯のかみ合わせが悪い場合
上下のかみ合わせがうまく合っていない場合は、虫歯や歯周病になりやすいだけでなく、顔がゆがんだり、頭痛や肩こりを引き起こしやすくなります。
また、かみ合わせが悪いとなんとなく落ち着かない、集中力がないという状態になることもあります。
事実、トップアスリートは集中力を出し、パフォーマンスを上げるために、歯の矯正を行う方が多いです。
歯のかみ合わせは体の様々な箇所に悪影響を及ぼすため、かみ合わせが悪い場合は歯の矯正を行うことを考えましょう。
子どもの矯正の方法
矯正と聞くと、歯を固定する装置を昼夜問わず装着するイメージを持っている人が多いと思います。
しかし、子どもの矯正では、本人に負担をかけないように取り外し可能な装置が使われることが多いです。
固定式の矯正器具と取り外し式の矯正器具の特徴を紹介します。
ワイヤー矯正
大人でも子どもでも使われる、もっとも一般的な固定式の矯正方法(装置)です。
ワイヤーにブラケットと呼ばれる小さな板のようなものを数珠つなぎのように通して、それを歯の1本1本に取り付けていきます。
ワイヤーが元に戻ろうとする力を利用して、歯に固定したブラケットを動かすことで、歯を直接動かしていく仕組みです。
固定式で取り外せないので、子ども本人が慣れるまでは負担の大きい矯正方法です。
床矯正(しょうきょうせい)
子どもの歯の矯正で良く使われる取り外し可能な矯正装置です。
固定式のように歯を直接動かしていくのではなく、歯の下にあるあごの骨を外に広げることで歯を動かしていく仕組みになっています。
あごの骨が狭い場合、歯が互いに押し合いながら成長してしまうことで歯並びがガタガタになる可能性が高くなります。
床矯正で広げることで、歯がきれいに並ぶためのスペースを作ります。
食事や入浴などのときに取り外せるのため、子ども本人の負担が少ない矯正方法です。
1日の装着時間は14~18時間程度です。
マウスピース矯正
歯医者で作成した専用のマウスピースを装着して歯を直接動かしていく方法です。
もちろん、これも取り外し可能です。
0.5mm程度の薄くて透明なマウスピースで、目立ちにくく、子ども本人の負担が一番少ないのがメリットです。
1日の装着時間は就寝時のみつけるタイプと食事時を除いてほぼ1日中付けるタイプの2つがあり、症状により異なります。
なお、固定式や床矯正に比べると矯正力が弱いため、歯並びが明らかにガタガタで大きく動かしたい場合などには適していないので注意が必要です。
子どもの歯の矯正はいつから始めるのがベスト?
子ども矯正を始めるのに最適な時期は、大きく2つに分けることができます。
第1期(6~12歳)と第2期(12~18歳)です。
『歯やあごの成長が活発な第1期のうちに矯正をしておくべき』というのが、多くの歯科医師共通の見解です。
ただし、先ほど紹介した矯正の種類すべてが第1期に始めれば最適というわけでもありません。
床矯正はあごの成長が活発である第1期の7~10歳が適齢ですが、ワイヤー矯正はどの年齢でも使用可能です。
マウスピース矯正は、永久歯が生えそろった12歳頃が適齢です。
生え変わりの時期である第1期では、口や歯の形がすぐに変わってしまい、何度も作り直さなければならないためです。
子どもの歯の矯正が完了するまでの期間と費用の目安
子どもの矯正が完了するまでの期間は、第1期で10か月~1年半程度が目安です(※症状や矯正方法によっても異なります)。
その間、装置の微調整や歯の点検確認のために、1~2か月に1回ほど定期的に通院する必要があります。
子どもの治療期間は、大人の治療期間が1年半~3年かかるのに比べるとかなり短いです。
子どもの歯やあごは成長途中であり、装置で動かしやすいため大人に比べると短くなるのです。
ただし、第2期に入ると、成長のスピードが緩やかになっているので1年半~2年半と少し伸びます。
矯正にかかる治療費は、第1期の治療で20~60万円、第2期で25~65万円です。
保険外治療のため、全て自己負担で、歯医者によって価格はまちまちです。
歯医者のホームページや口コミ情報をみて、納得のいく歯医者を選びましょう。
子どもの歯の矯正で注意すべき点は?
歯医者の選び方
子どもの歯の矯正でまず重要なのが、矯正を行う歯医者の選び方です。
歯医者の選び方としてポイントを4つあげます。
- 大人の矯正と子どもの矯正ではやり方が異なるため、小児矯正を多く行っているところを選びましょう。
- 保険外の治療となり、歯医者によって矯正費用が大きく異なるため、歯医者を何か所か回って比較しましょう。
- 子どもが大きくなると、一人で行くことも多くなります。子どもの足で通えるように、なるべく家から近い歯医者を選びましょう。
- 子ども自身が嫌がると通えなくなるため、雰囲気も重要です。歯科医が優しい雰囲気で、本人が嫌がらずに通える箇所を選びましょう。
大手口コミサイト『e-矯正歯科.com』などで口コミを調べてから申し込んでみるのが良いでしょう。
矯正開始後のメンテナンス
次に重要なのが、矯正を開始してからの歯のメンテナンスです。
矯正装置を付けている間は虫歯や歯周病になりやすいため、入念な口内ケアが必要です。
矯正期間中に虫歯が出来てしまうと、一旦矯正を中断して虫歯の治療を優先するため、矯正期間が延びてしまいがちです。
特に固定式の装置をつけている場合、装置と歯とのすき間に食べカスや細菌が溜まりやすくなり、虫歯ができやすいので注意が必要です。
子どもだけで隅々まで歯磨きするのが難しいので、親が仕上げ磨きを行うなどして積極的にサポートしてあげましょう。
子どもの歯の矯正 体験談・口コミ
子どもを持つ親に子どもの歯の矯正について、実際にかかった費用や治療期間、歯医者の選び方などの体験談をヒアリングしました。
これから矯正を考えている人に参考になれば幸いです。
体験談1:12歳から矯正を始めた女の子のママにインタビュー
Q.矯正を始めたきっかけは何ですか?
特に前歯の歯並びが悪く、女の子で本人も気にしており、口をあまり開けないような話し方をし始めたので歯列矯正を考えました。
どれくらい悪いかというと普通、楕円形の歯並びはなだらかな楕円形に並んでいるはずなのに下側は台形のようで、上の前歯は一本づつ前後していました。
Q.歯医者はどのようにして選びましたか?
いつも虫歯治療に行く歯医者さんで聞いてみると、隔週で矯正歯科医が来て治療を行っていました。
でも金額が少し大きかったのと治療方針などを他でも聞いてみたくて、計4件相談に行きました。
しかし、金額も治療方針もあまり変わらなかったので、本人が通いやすく、慣れているいつもの歯医者さんに決めました。
Q.矯正にはどのくらいの費用がかかりましたか?また、矯正期間はどのくらいでしたか?
2年ほど毎月通って、合計90万程度かかりました。
高いのですが、他の歯医者でも大体同じ値段でしたので妥当かなと思っています。
矯正自体は終了したのですが、二次成長期に入るとまた崩れる可能性があると歯科医からアドバイスがあったので、まだ隔月で通院しています。
Q.どのような治療内容でしたか?
治療にあたって最初に先生からどこまで治療を行うかと聞かれました。モデルさんや芸能人のようにあごのラインまで美しくするのか、そこまでじゃなくていいのか。
とくに芸能関係に進むことはないのでそこまで望まないことを伝えました。
最初に歯型とレントゲンをとってみると、前歯の並び方がよくないだけでかみ合わせも上下のサイズも釣り合いが取れているとのことでした。
前歯4本を中心に裏側からブリッジをかけて矯正を行いました。
Q.矯正で大変な点はありましたか?
大変だったのは歯磨きです。
虫歯になると矯正がストップすると言われ、今までと違って念入りに歯を磨き、だらだら食べをやめました。
本人も理解できる年なので説得しなくても自分調べたり、先生に聞いたりして自分から進んでケアしていました。
体験談2:8歳から矯正を始めた女の子のママにインタビュー
Q.矯正を始めたきっかけは何ですか?
娘の乳歯がなかなか抜けず、先に永久歯が生えてきてしまいました。
1本目の永久歯も、2本目、3本目の永久歯も同様に乳歯が抜ける前に生えてきてしまい、かかりつけの歯医者で抜歯をしてもらうほどでした。
そのため、本来の場所とは違うところから永久歯が生えてきて、歯並びはガタガタだったので、歯医者にすすめられて矯正を始めました。
Q.歯医者はどのようにして選びましたか?
矯正の方法は歯医者によって値段もやり方も違うので、2件回ってからよさそうなところで決めようと思いました。
カウンセリングを行ったところ、2件目の歯医者が歯の裏側からつけるタイプの矯正をやっており、費用が安かったので、そこに決めました。
女の子なので目立ちにくい矯正を行っているのがポイントでした。
Q.矯正にはどのくらいの費用がかかりましたか?また、矯正期間はどのくらいでしたか?
2年ほど毎月通って、合計40万程度かかりました。
現在も経過観察中で、再び歯が動いてしまわないようにリテーナーを付けています。
Q.どのような治療内容でしたか?
歯の裏側につける矯正器具と装置と夜間の間だけ装着するマウスピースと併用していく方法で、毎月診察を受けて矯正をすすめました。
Q.矯正で大変な点はありましたか?
しゃべりにくいし、痛いと本人が嫌がって止めたがっていたので、矯正を続けるように説得するのが大変でした。
しばらくして慣れると文句は言わないようになりましたが。
また、就寝時につけるマウスピースをきちんとつけて寝ているかチェックするのが手間がかかりました。
現在は歯並びがきれいになったことで、本人に自信がついたように思います。
費用が高額で迷いましたが、思い切って矯正に踏み切ってよかったです。
まとめ
お金はかかりますが、一生ものの歯ですし、本人のコンプレックスになるので、なるべく早めに治療を開始して歯をキレイにしてあげるのが良いです。
また、矯正費用には大きく幅がありますし、歯医者により矯正方法が異なりますので、必ず複数の歯医者を回ってから歯医者を決めましょう。
費用が妥当で、なるべく本人の負担が少ない矯正方法を行っている歯医者が望ましいです。
口コミサイトで口コミを調べるのも一つの手です。